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今注目されている行動経済学(Behavioral Economics)とは?

今注目されている行動経済学(Behavioral Economics)とは? 公開日:2021/10/28
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行動経済学(Behavioral Economics)とは?

人間の心理や行動を観察し、特徴を明らかにして、その上で経済学を再構築する学問です。
行動経済学は、人間は合理的であるとともに、非合理的な行動をすると言う前提で研究されます。
一番有名な学説は、心理学者ダニエル・カーネマンとエイモス・トヴェルスキーが提唱した「プロスペクト理論」です。
また、経済学者ハーヴェイ・ライベンシュタインが提唱した「バンドワゴン効果(Bandwagon Effect)」があります。

行動経済学が成り立つ前提とは?

  1. 従来の伝統的経済学の「人は合理的に行動する」という前提と異なり、行動経済学は「合理的な行動と共に、非合理的な行動もする」という前提です。
  2. 非合理的な行動をする人はたくさんいます。そして、非合理的な行動は社会を左右します。
    非合理的な人が社会から駆逐されるとは限リません。

プロスペクト理論(Prospect theory)とは?

心理学者ダニエル・カーネマンとエイモス・トヴェルスキーが提唱した、一番有名な学説です。
プロスペクト理論の特性には3つあり、「参照点依存性 (さんしょうてんいぞんせい) 」「損失回避性(そんしつかいひせい)」「感応度逓減性(かんのうどていげんせい)」 があります。

参照点依存性:損得を判断では、絶対的水準よりもある地点からの変化の大きさで価値を決めます。
損失回避性 :利益を得るよりも損失による苦痛の方が大きく感じます。
感応度逓減性:損得の絶対値が大きくなるほどその感覚が鈍ってきます。

野村証券「証券用語解説集」より

参照点依存性(さんしょうてんいぞんせい)とは?

人間が絶対的な判断軸を常に持っているのではなく、環境や状況によって、判断軸が変わる性質のことです。
例えば、10万円の車のタイヤも、500万円の車を買う際には500万円が参照点となり、10万円のタイヤを安く感じてしまいます。

損失回避性(そんしつかいひせい)とは?

得を求めるよりも損を避ける心理の特徴です。
人間は損をすることにとても敏感で、それを避ける行動をとる傾向が強くなります。

感応度逓減性(かんのうどていげんせい)とは?

利益または損失の絶対値が大きくなるにつれて、変化への感覚が鈍っていく心理の特徴です。
例えば、同じ1万円の損失であっても、100万円が99万円になるよりも、10万円が9万円になる方が苦痛を大きく感じます。

ダニエル・カーネマンの「プロスペクト理論」は、2002年にノーベル経済学賞を受賞し、 いまでは行動経済学の基礎理論となっています。発想として利用価値は非常に高いとされています。
人間的な特性を踏まえ、行動経済学はマーケティングや政策応用にも生かされています。

バンドワゴン効果(Bandwagon Effect)とは?

ある製品や事柄にたくさんの人がそれを支持している時に、その製品や事柄への支持が高まるという心理効果です。
「みんなしているから安心」「みんなしているから欲しい」という心理はバンドワゴン効果です。
例:行列のあるラーメン屋さん、美人投票、ブーム、インフルエンサーマーケティング

バンドワゴンとは、楽器隊(バンド)を乗せて走る大きな荷車(ワゴン)が由来です。バンドワゴンには行列ができます。多数派の意見についていく大衆の姿に例えられ、名付けられました。

また、バンドワゴン効果とはまったく逆の行動心理学、スノッブ効果もあります。

スノッブ効果(Snob Effect)とは?

米理論経済学者のバーヴェイ・ライベンシュタインによって提唱されました。
「みんなしているからしない」「みんなしているから欲しくない」という心理はスノッブ効果です。
例:1日限定10杯のラーメン屋さん、地域限定、期間限定

「バンドワゴン効果」「スノッブ効果」はどっちが正しいの?
「どっちを元に考えればいいの?」
と思いますが、これらは個人の判断・嗜好性によるもので、状況によって使い分けて考える必要があります。

行動経済学の分類・分野とは?

行動経済学の分類・分野には3つあります。

  1. 時間選好(時間割引)
  2. 社会的選好
  3. 確率と意思決定(行動ファイナンスなど)

時間選好(時間割引)とは?

未来よりも現在(いま)を重要視してしまう「現在バイアス」に着目します。
これまでの伝統的経済学では、現在と未来でも一貫した選択を行うと想定していました。
しかし、検証の結果、一貫した選択を行わないことが多く分かりました。

社会的選好とは?

人は必ず利己的ではなく、他人の状態や行動に従属する「社会的選好」に着目します。
これまでの伝統的経済学では、自分の利益のみを最大化する主体を想定していました。
しかし、検証の結果、他人の状態を考慮したり、行動に合わせることが分かりました。

確率と意思決定(行動ファイナンスなど)とは?

確率に対する歪みがあることに着目します。
これまでの伝統的経済学では、確率を正しく計算して行動する主体を想定してきました。
しかし、検証の結果、確率に対する認識に歪みがあることが分かりました。

行動ファイナンス

人の心の動きに注目します。「人はどのように意思決定し行動するのか?」「なぜある時は非合理的な行動をするのか?」を研究する行動経済学に基づいた投資理論を行動ファイナンスといいます。

まとめ

行動経済学は、経済学と心理学を組み合わせた新しい経済学問です。
それを理解した上で活用し、よりうまく投資運用できることを期待しています。

参考書籍:筒井義郎/佐々木俊一郎他「行動経済学入門」(2017)東洋経済新報社

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